一物五価・価格のしくみ
スーパーのおかしには、値ふだが1まいだけついていますね。ところが土地はちがいます。じつは1つの土地に、ねだんの書かれた値ふだが何まいもぶら下がっているのです。これを 一物五価(いちぶつごか) と呼びます。「1つのもの(土地)に、5つのねだんがある」という意味ですね。
どうして、こんなことになるのでしょう。それは、ねだんを決める人(国・都道府県・国税庁・市町村・市場)が、それぞれちがうからです。しかも使うもくてき(売り買い・税金の計算・相続など)もちがいます。同じ土地でも「税金を計算するための値ふだ」と「じっさいに売るときの値ふだ」は、べつものなのですね。
1つの土地に「5まいの値ふだ」がぶら下がっている
まずは全体の絵を見てみましょう。次の図のように、1つの土地のまわりに、5まいの値ふだが「だれが・なんのために決めたか」とセットでぶら下がっています。こう考えると、ぐっと分かりやすくなりますよ。
5まいの値ふだを表でせいり
では、5まいの値ふだを表にしてみましょう。「だれが決めるか」「いつのねだんか(基準日)」「いつ発表されるか(公表時期)」「なにに使うか」をならべました。むずかしい言葉が多いので、あわてず、ゆっくり見てくださいね。
| 価格の種類 | 決める主体 | 基準日 | 公表時期 | 主な目的 | 公示=100 |
|---|---|---|---|---|---|
| 実勢価格(時価) | 市場(売主・買主) | 取引のたび | 都度 | 実際の売買 | 100〜120 |
| 公示地価 | 国土交通省 | 1月1日 | 3月下旬 | 取引の指標 | 100 |
| 基準地価 | 都道府県知事 | 7月1日 | 9月下旬 | 公示地価の補完 | 100 |
| 相続税路線価 | 国税庁 | 1月1日 | 7月1日 | 相続税・贈与税 | 約80 |
| 固定資産税評価額 | 市町村 | 1月1日 | 3年ごと | 固定資産税など | 約70 |
むずかしい言葉が出てきましたね。1つずつ、やさしく言いかえておきましょう。
- 公示地価(こうじちか)=国が毎年1月1日に出す、土地のねだんの「ものさし」。みんながねだんを決めるときの目じるしです。
- 基準地価(きじゅんちか)=都道府県が7月1日に調べるねだん。公示地価が1月のねだんなので、半年あとのようすを見るための「おかわり」ですね。
- 相続税路線価(そうぞくぜいろせんか)=道路ごとについた、相続税・贈与税(家や土地をもらったときの税金)の計算に使うねだん。
- 固定資産税評価額(こていしさんぜいひょうかがく)=市町村が、毎年の固定資産税(土地や家を持っていると払う税金)を計算するために決めるねだん。
- 実勢価格(じっせいかかく)=じっさいに売り買いが決まったねだん。いちばん「本当のねだん」に近いものです。
ねだんのちがいを見くらべよう(公示地価を100として)
5まいの値ふだは、てんでばらばらに決まっているわけではありません。じつはだいたいの高さがそろえてあります。公示地価を100とすると、固定資産税評価額は約70(公示の約7わり)、相続税路線価は約80(約8わり)です。そして実勢価格は、人気のまちでは100〜120まで上がることもありますよ。
「いつのねだん」で「いつ発表」されるの?
もう1つ、こんがらがりやすいことがあります。それは、「いつのねだんか(基準日)」と「いつ発表するか(公表時期)」がずれていることです。たとえば公示地価は「1月1日のねだん」を、3月の終わりごろに発表します。1年のカレンダーで見ると、発表の時期は次のようにバラバラなのですね。
- 1 3月下旬 公示地価 1/1時点の価格
- 2 7月1日 相続税路線価 1/1時点の価格
- 3 9月下旬 基準地価 7/1時点の価格
- 4 3年ごと 固定資産税評価替え 3年ごとに見直し
固定資産税評価額だけは、毎年ではありません。3年に1回だけ見直しをします。これを評価替え(ひょうかがえ)と呼びます(いちばん近いのは令和6年度、次は令和9年度のよてい)。
このページのまとめ
- 1つの土地には5まいの値ふだがある(一物五価)。
- 決める人ともくてきがちがうから、ねだんもちがう。高さは固定資産70<路線価80<公示100≦実勢100〜120が目安です。
- 「いつのねだんか」と「いつ発表か」はずれている。固定資産税評価額は3年に1回見直す。
つぎのページでは、このねだんをもとに、不動産会社や鑑定士(かんていし=ねだんをはかるプロ)がどうやって査定(さてい=ねだんを見つもること)をするのか、そして自分で相場(そうば=だいたいのねだん)を調べる方法を見ていきましょう。