不動産まるわかり大全

投資の基礎と利回り

不動産投資(ふどうさんとうし)って、むずかしそうな名前ですね。でも、やっていることはとてもシンプルです。お部屋やお家を買って、それをだれかに貸して、毎月の家賃(やちん)をもらう。これだけなんです。

たとえるなら、レンタル屋さんごっこに似ています。自分のおもちゃをお友だちに貸して、かわりに毎週おこづかいを少しもらう。そんなイメージですね。おもちゃのかわりに「お部屋」を貸して、おこづかいのかわりに「家賃」をもらう、というわけです。

このページでは、まず「どうやってお金がふえるの?」というしくみから、つぎに「どんなお部屋やお家を買えるの?」、そして物件(ぶっけん=買うお部屋やお家のこと)をくらべるときの大事なものさし「利回り(りまわり)」まで、ゆっくり見ていきましょう。

お金がふえる、2つの道

不動産投資でお金がふえる道は、大きく分けて2つあります。1つのお部屋から、せいかくのちがう2しゅるいのお金が生まれる、とおぼえてください。

  • 家賃(やちん)でふえる道… 貸しているあいだ、毎月コツコツ入ってくるお金です。むずかしい言葉だと「インカムゲイン(保有益=ほゆうえき)」と言います。おこづかいのように、少しずつ、ずっともらえるお金ですね。
  • 売って(うって)ふえる道… 買ったときより高く売れたときの、もうけです。むずかしい言葉だと「キャピタルゲイン(売却益=ばいきゃくえき)」と言います。ただし一度きりで、安くしか売れなければ逆に損をします。

たとえると、毎月もらう家賃が「おこづかい」売ったときのもうけが「フリマでおもちゃを高く売れたときのお金」です。おこづかいは少しずつ、ずっともらえます。フリマのお金は一度きりですね。日本のいまの不動産投資は、おこづかい(家賃)をコツコツもらう道を中心に考えるのがふつうです。

毎月の家賃 売ったもうけ 1つのお部屋
図1 1つのお部屋から、2本の道。左の家賃はずっと続くおこづかい、右の売却益は出口で一度きりのお金です。

買える物件には、どんな種類があるの?

買えるお部屋やお家には、いくつかの種類があります。それぞれひつようなお金・こわさ・手間(てま)がちがいます。「自分に合っているかな?」と考えるのが、えらび方のスタートです。

  • 区分(くぶん)マンション… マンションの1部屋だけを買う方法です。少ないお金で始めやすいけれど、1部屋だけだと、住む人がいれば100点、いなければ0点。だれもいなくなった月は家賃がゼロなのに、ローンの返済だけは続きます。
  • 一棟(いっとう)アパート・一棟マンション… 建物まるごと1つを買う方法です。お部屋がたくさんあるので、1部屋空いても、ほかの部屋の家賃でカバーできます。でも、ひつようなお金がけたちがいに大きい(何千万〜何億円)のがたいへんです。
  • 戸建て(こだて)賃貸… 一軒家(いっけんや)を貸す方法です。駅から遠くても、家族づれに人気で、いちど住むと長く住んでくれることが多いです。こわれたところの修理は、ぜんぶ自分でなおすのがたいへんですね。
  • 駐車場(ちゅうしゃじょう)など… 建物を建てずに、土地を車のおき場にする方法です。少ないお金と手間でできますが、もうけは少なめで、ぜいきん(税金)のおまけ(軽減)も効きにくいです。

この4つを「ひつようなお金は多い?少ない?」と「空き部屋のこわさを分けられる?」の2つのものさしでならべると、それぞれの場所がよく分かります。

区分マンション 一棟アパート 一棟マンション 戸建て賃貸 駐車場
図2 右にいくほどお金がたくさんいる、上にいくほど空き部屋のこわさを分けやすい。一棟は高いけれど分けやすく、1部屋だけの区分や戸建ては安いけれど0点か100点になりやすいですね。

どれくらいもうかるかには「だいたいの目安」があります。大事なのは、こわさが小さい物件はもうけも小さく、こわさが大きい物件はもうけが大きく見えること。つまり「たくさんもうかる=お得」とはかぎりません

4 % 区分マンション だいたい3〜5% 8 % 一棟マンション だいたい8%くらい 8.5 % 一棟アパート だいたい8.5%くらい
図3 物件の種類ごとの、利回り(もうけの率)のだいたいの目安です。駅の近くの区分は低め、地方や一棟は高めに出やすいですね。

利回り(りまわり)ってなに? — 2しゅるいあります

利回り(りまわり)とは、「出したお金に対して、1年でどれくらいもうかるか」を%(パーセント)であらわしたものです。物件をくらべるときの、いちばん大事なものさしですね。

お店やさんごっこで考えてみましょう。100円で仕入れたジュースを、1年でぜんぶ売って110円になったら、もうけは10円。これは「100円に対して10円もうかった=利回り10%」です。かんたんですね。でも、この利回りには2しゅるいあって、ごちゃまぜにすると大失敗します。

① 表面(ひょうめん)利回り=ざっくり版

かかるお金(経費=けいひ)をまったく考えない、ざっくりした利回りです。広告やチラシに大きく書いてあるのは、たいていこっちです。

表面利回り(%) = 1年の家賃 ÷ 物件のねだん × 100

② 実質(じっしつ)利回り=ほんとう版

管理(かんり)のお金やぜいきんなど、じっさいにかかるお金を引いて計算した、ほんとうに近い利回りです。買うかどうかは、こっちで決めます。

実質利回り(%) =(1年の家賃 − 1年でかかるお金)÷(物件のねだん + 買うときにかかるお金)× 100

お店やさんごっこで言うと、ジュースを売るには「氷代」や「コップ代」もかかりますよね。それを引いたあとの、ほんとうのもうけが実質利回りです。表面利回りは「氷代もコップ代も考えていない、見かけだけのもうけ」というわけですね。

では、同じ物件でも数字がどれだけ変わるか、見てみましょう。下の表は、どちらも表面利回りが10.0%の、2つの例です。

図4 同じ「表面利回り10%」でも、かかるお金の重さで、ほんとうの利回り(実質利回り)は6%台や7%台に下がります。広告の数字をそのまま信じてはいけない理由が、ここにありますね。

例Aは(500万円 − 100万円)÷(5,000万円 + 300万円)× 100 = 約7.5%、例Bは(300万円 − 100万円)÷(3,000万円 + 120万円)× 100 = 約6.4%同じ「見かけ10%」でも、ほんとうのもうけはぜんぜんちがうのが分かりますね。

じっさいに計算してみましょう(利回り計算機)

下の計算機に、気になる物件の「ねだん」「1年の家賃」「1年でかかるお金」を入れてみてください。表面利回りと実質利回りが、その場で出てきます。「かかるお金」の数字を大きくしてみると、ほんとうの利回りがどんどん下がるのが分かりますよ。やってみましょう。

利回り計算機

表面利回り

-%

家賃 ÷ 価格

実質利回り

-%

(家賃 − 経費) ÷ 価格

図5 利回り計算機です。ねだん・家賃・かかるお金を入れると、2つの利回りがすぐ出ます。さいしょは3,000万円・家賃240万円・かかるお金48万円が入っています。