権利関係②:借地借家・区分所有・登記
権利関係には、民法のほかにも「特別なルール(特別法)」があります。それが借地借家法(2問)・区分所有法(1問)・不動産登記法(1問)。これらは出る範囲がせまく、覚えればそのまま点になる、おいしい分野です。民法のひねった問題でつまずいても、ここを落とさなければ合格ラインに届きます。このページでは、これらと相続・不法行為を、数字と○×の表でまとめて覚えてしまいましょう。
1. 賃貸借(民法)
賃貸借(ちんたいしゃく)は、お金をはらって物を借りる約束のこと。アパートを借りるのもこれです。土地や建物の貸し借りは、あとで出てくる「借地借家法」が優先されますが、まずはその土台になる民法の基本ルールを押さえましょう。
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 存続期間の上限 | 50年(改正で20年→50年に延長) |
| 譲渡・転貸 | 貸主の承諾が必要(無断は原則解除事由) |
| 敷金返還 | 明渡しが先・返還が後(同時履行ではない) |
| 通常損耗・経年変化 | 賃借人の原状回復義務に含まれない(改正で明文化) |
2. 借地借家法 ── 弱い借主を手厚く守る特別法
部屋や土地を借りる人は、貸す人にくらべて立場が弱くなりがちです。そこで借地借家法(しゃくちしゃっかほう)は、借りる人を民法よりもっと手厚く守るためのルールになっています。建物を建てるために土地を借りる権利が借地権、建物そのものを借りる権利が借家権。ふつうの契約は更新してずっと住めますが、更新のない「定期」タイプもあります。
普通借地権
借地権の対抗要件は借地上の建物の登記(自己名義の建物登記があれば、土地に登記がなくても第三者に対抗できる)。期間満了で更新されない場合、借地人は建物買取請求権(建物を時価で買い取るよう請求)を行使できます。
定期借地権(3種類)
| 種類 | 存続期間 | 方式 | 用途・備考 |
|---|---|---|---|
| 一般定期借地権 | 50年以上 | 書面(電磁的記録可) | 更新なし |
| 事業用定期借地権 | 10年以上50年未満 | 公正証書に限る | 事業用に限る・居住用不可 |
| 建物譲渡特約付借地権 | 30年以上 | 書面不要(口頭可) | 満了で建物を地主に譲渡 |
借家権(普通建物賃貸借)
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 存続期間 | 上限なし。1年未満の定めは「期間の定めなし」とみなす |
| 法定更新の拒絶通知 | 期間満了の1年前から6か月前まで(+正当事由) |
| 解約申入れ(貸主) | 6か月前+正当事由 |
| 解約申入れ(借主) | 3か月前 |
| 対抗要件 | 建物の引渡し(登記がなくても可) |
定期借家(定期建物賃貸借)は、公正証書等の書面(電磁的記録可)で契約し更新がありません。契約前に「更新がなく期間満了で終了する」旨を記載した書面を交付して説明しないと、定期借家とならず普通借家になります。期間1年以上の定期借家では、期間満了の1年前から6か月前までに終了通知が必要です。
3. 不法行為
わざと、またはうっかり(故意・過失)で他人に損害を与えてしまったら、その埋め合わせ(賠償)をする責任を負います(709条)。これが不法行為です。自分が直接やった場合のほかに、やとった人がやった場合の雇い主の責任(使用者責任)や、建物などの欠陥による責任(工作物責任)がよく出ます。
4. 相続 ── 法定相続分と遺留分
人が亡くなると、その人の財産(プラスの財産も、借金などのマイナスも)が家族に引きつがれます。これが相続です。だれが受けつぐかには順番があり、配偶者(夫や妻)はいつでも相続人。それ以外は第1順位=子、第2順位=親など(直系尊属)、第3順位=兄弟姉妹の順です。だれと一緒に相続するかで、取り分(法定相続分)が決まります。
| 相続人の組み合わせ | 配偶者 | 他の相続人(全員で) |
|---|---|---|
| 配偶者+子 | 1/2 | 子 1/2 |
| 配偶者+直系尊属 | 2/3 | 直系尊属 1/3 |
| 配偶者+兄弟姉妹 | 3/4 | 兄弟姉妹 1/4 |
遺留分は、遺言でも侵害できない最低保障枠です。総体的遺留分は原則1/2、直系尊属のみが相続人のときは1/3。個別の遺留分は「総体的遺留分 × 各自の法定相続分」で計算します。
| 遺留分権利者 | 総体的遺留分 |
|---|---|
| 直系尊属のみが相続人 | 1/3 |
| それ以外(配偶者・子がいる) | 1/2 |
| 兄弟姉妹 | なし(ゼロ) |
円
兄弟姉妹の遺留分
遺留分があるのは配偶者・子・直系尊属だけ
5. 区分所有法(マンション)
1つのマンションを、たくさんの人で部屋ごとに分けて持つ(分譲マンション)ためのルールが区分所有法です。マンションには、自分だけの部屋(専有部分)と、みんなで使う廊下やエレベーター(共用部分)があります。みんなで使う部分のことは、住民の集まり(集会)での多数決(決議)で決めます。この「何人の賛成がいるか(過半数/3/4/4/5)」が、いちばんよく出るところです。なお、自分の部屋と敷地を使う権利は、バラバラに売れないのが原則です。
| 決議事項 | 必要な賛成(区分所有者数・議決権) |
|---|---|
| 普通決議(管理者の選解任・小規模滅失の復旧) | 過半数 |
| 規約の設定・変更・廃止 | 3/4以上 |
| 共用部分の重大変更 | 3/4以上(区分所有者数は規約で過半数まで減可) |
| 大規模滅失(価格1/2超)の復旧 | 3/4以上 |
| 管理組合法人の設立・解散 | 3/4以上 |
| 義務違反者への使用禁止・競売請求 | 3/4以上 |
| 建替え | 4/5以上 |
規約・集会の決議は、占有者(賃借人)や特定承継人(買主)にも効力が及びます。占有者は会議の目的に利害関係があれば集会に出席して意見を述べられます(ただし議決権はありません)。
6. 不動産登記法
登記簿(とうきぼ)は、不動産の「戸籍(こせき)」のようなノートです。どんな土地・建物か(表示)と、だれが持っていて、抵当権などがついているか(権利)が書かれています。このノートは、上から3段に分かれています。
- 1 表題部
物理的状況(所在・地番・地積・構造)。新築は取得から1か月以内に表題登記の申請義務
- 2 権利部 甲区
所有権に関する登記(保存・移転・差押え等)
- 3 権利部 乙区
所有権以外の権利(抵当権・賃借権など)
| 項目 | 表示に関する登記 | 権利に関する登記 |
|---|---|---|
| 対象 | 物理的状況 | 所有権・抵当権など |
| 申請義務 | 新築は1か月以内(義務) | 任意(ただし対抗のため必要) |
| 対抗力 | — | 登記しないと第三者に対抗不可 |
暗記の総まとめ(権利関係②の数字)
建替え決議の必要賛成数
規約変更などの3/4と混同しない
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 普通借地権の存続期間(当初/更新1回目/2回目〜) | 30年/20年/10年(以上) |
| 定期借地3種(一般/事業用/建物譲渡特約付) | 50年以上/10〜50年未満/30年以上 |
| 普通借家の更新拒絶通知 | 満了1年前〜6か月前 |
| 借家の解約申入れ(貸主/借主) | 6か月前/3か月前 |
| 区分所有:規約変更・重大変更・大規模滅失復旧 | 3/4以上 |
| 区分所有:建替え | 4/5以上 |
| 区分所有:集会招集請求 | 1/5以上 |
| 法定相続分(配偶者+子/親/兄弟) | 1/2・2/3・3/4 |
| 遺留分(原則/直系尊属のみ/兄弟) | 1/2/1/3/ゼロ |
| 相続放棄・限定承認の熟慮期間 | 3か月 |
| 相続登記の義務化 | 3年以内 |
権利関係はこれで一区切りです。次はいよいよ最大配点20問の宅建業法へ。範囲が狭く暗記中心で、満点〜18点を狙える最大の得点源です。金額・日数・割合の数字を正確に固めましょう。