不動産まるわかり大全

権利関係②:借地借家・区分所有・登記

権利関係には、民法のほかにも「特別なルール(特別法)」があります。それが借地借家法(2問)・区分所有法(1問)・不動産登記法(1問)。これらは出る範囲がせまく、覚えればそのまま点になる、おいしい分野です。民法のひねった問題でつまずいても、ここを落とさなければ合格ラインに届きます。このページでは、これらと相続・不法行為を、数字と○×の表でまとめて覚えてしまいましょう。

1. 賃貸借(民法)

賃貸借(ちんたいしゃく)は、お金をはらって物を借りる約束のこと。アパートを借りるのもこれです。土地や建物の貸し借りは、あとで出てくる「借地借家法」が優先されますが、まずはその土台になる民法の基本ルールを押さえましょう。

図1 賃貸借(民法)の主な数字とルール

2. 借地借家法 ── 弱い借主を手厚く守る特別法

部屋や土地を借りる人は、貸す人にくらべて立場が弱くなりがちです。そこで借地借家法(しゃくちしゃっかほう)は、借りる人を民法よりもっと手厚く守るためのルールになっています。建物を建てるために土地を借りる権利借地権建物そのものを借りる権利借家権。ふつうの契約は更新してずっと住めますが、更新のない「定期」タイプもあります。

普通借地権

30 年 当初 30年以上 20 年 更新1回目 20年以上 10 年 更新2回目〜 10年以上
図2 普通借地権の存続期間。最初は30年以上、更新後は1回目20年・2回目以降10年

借地権の対抗要件は借地上の建物の登記(自己名義の建物登記があれば、土地に登記がなくても第三者に対抗できる)。期間満了で更新されない場合、借地人は建物買取請求権(建物を時価で買い取るよう請求)を行使できます。

定期借地権(3種類)

図3 定期借地権3種類の比較。事業用だけ公正証書が必須で居住用に使えない

借家権(普通建物賃貸借)

図4 借家権の主な数字。1年未満の定めは「期間の定めのない契約」とみなす

定期借家(定期建物賃貸借)は、公正証書等の書面(電磁的記録可)で契約し更新がありません。契約前に「更新がなく期間満了で終了する」旨を記載した書面を交付して説明しないと、定期借家とならず普通借家になります。期間1年以上の定期借家では、期間満了の1年前から6か月前までに終了通知が必要です。

3. 不法行為

わざと、またはうっかり(故意・過失)で他人に損害を与えてしまったら、その埋め合わせ(賠償)をする責任を負います(709条)。これが不法行為です。自分が直接やった場合のほかに、やとった人がやった場合の雇い主の責任(使用者責任)や、建物などの欠陥による責任(工作物責任)がよく出ます。

① 占有者 ② 所有者 工作物の瑕疵で損害
図5 工作物責任の二段構え。占有者は免責ありの過失責任、所有者は免責なしの無過失責任

4. 相続 ── 法定相続分と遺留分

人が亡くなると、その人の財産(プラスの財産も、借金などのマイナスも)が家族に引きつがれます。これが相続です。だれが受けつぐかには順番があり、配偶者(夫や妻)はいつでも相続人。それ以外は第1順位=子、第2順位=親など(直系尊属)、第3順位=兄弟姉妹の順です。だれと一緒に相続するかで、取り分(法定相続分)が決まります。

3 3 6 4 2 6
  • 配偶者
  • 直系尊属

各ケースを6で通分(配偶者+子=3:3/配偶者+親=4:2/配偶者+兄弟=4.5:1.5)

図6 法定相続分。配偶者と一緒に相続する人の順位が下がるほど配偶者の取り分が増える
図7 法定相続分の早見表。配偶者の取り分は子1/2→親2/3→兄弟3/4と増える

遺留分は、遺言でも侵害できない最低保障枠です。総体的遺留分は原則1/2、直系尊属のみが相続人のときは1/3。個別の遺留分は「総体的遺留分 × 各自の法定相続分」で計算します。

図8 遺留分の割合。兄弟姉妹に遺留分はゼロ(最重要ひっかけ)
兄弟姉妹の遺留分。いくら侵害されても請求できない

5. 区分所有法(マンション)

1つのマンションを、たくさんの人で部屋ごとに分けて持つ(分譲マンション)ためのルールが区分所有法です。マンションには、自分だけの部屋(専有部分)と、みんなで使う廊下やエレベーター(共用部分)があります。みんなで使う部分のことは、住民の集まり(集会)での多数決(決議)で決めます。この「何人の賛成がいるか(過半数/3/4/4/5)」が、いちばんよく出るところです。なお、自分の部屋と敷地を使う権利は、バラバラに売れないのが原則です。

3 /5 普通決議 過半数 3.8 /5 規約変更・重大変更 3/4以上 4 /5 建替え 4/5以上

必要な賛成割合を5分の何かで表現(過半数≒3/5・3/4=3.75/5・4/5=4/5)

図9 集会の決議要件。普通決議は過半数、規約変更や大規模滅失復旧は3/4、建替えだけ4/5
図10 決議事項ごとの必要賛成数。建替えだけが4/5以上

規約・集会の決議は、占有者(賃借人)や特定承継人(買主)にも効力が及びます。占有者は会議の目的に利害関係があれば集会に出席して意見を述べられます(ただし議決権はありません)。

6. 不動産登記法

登記簿(とうきぼ)は、不動産の「戸籍(こせき)」のようなノートです。どんな土地・建物か(表示)と、だれが持っていて、抵当権などがついているか(権利)が書かれています。このノートは、上から3段に分かれています。

図11 登記簿の3段構造。表題部(物理的状況)/権利部 甲区(所有権)/権利部 乙区(抵当権など)
図12 表示の登記と権利の登記の違い

暗記の総まとめ(権利関係②の数字)

マンション建替え決議の要件。4/5以上=5戸のうち4戸の賛成が必要なイメージ
図13 権利関係②で必ず覚える数字の一覧

権利関係はこれで一区切りです。次はいよいよ最大配点20問宅建業法へ。範囲が狭く暗記中心で、満点〜18点を狙える最大の得点源です。金額・日数・割合の数字を正確に固めましょう。