宅建業法
宅建の試験でいちばん問題数が多いのが、この宅建業法。なんと50問のうち20問もここから出ます。覚えることが中心で範囲もせまいので、がんばれば満点〜18点もねらえる、最大の得点源です。
ポイントは、お金・日数・割合の数字を正確に覚えること。にた数字でひっかけてくるので、このページでは「専任は7日/専属専任は5日」「未完成は5%/完成は10%」のように、ペアで対比して覚える工夫をしています。ひとつずつ、やさしく見ていきましょう。
1. 宅建業の定義と免許制度
まず、宅地建物取引業(宅建業)とは、かんたんに言うと土地や建物の取引を、仕事として行うことです。これをやるには免許がいります。ここで大事なのが「何が取引にあたるか」。下の表のように、自分でやる(自ら)・代理する・なかだちする(媒介)の組み合わせで決まります。
| 行為 | 売買 | 交換 | 貸借 |
|---|---|---|---|
| 自ら | ○ | ○ | × |
| 代理 | ○ | ○ | ○ |
| 媒介 | ○ | ○ | ○ |
| 事務所の所在 | 免許の種類 |
|---|---|
| 2つ以上の都道府県に事務所 | 国土交通大臣免許 |
| 1つの都道府県内のみ | 都道府県知事免許 |
2. 宅地建物取引士(宅建士)
宅建士は、不動産取引の専門家です。重要事項の説明など、宅建士にしかできない仕事(独占業務)があり、お店(事務所)には一定の人数の専任宅建士を置く義務があります。試験に合格してから宅建士になるまでの流れと、数字を覚えましょう。
- 1 試験合格 登録に期限なし
- 2 知事の登録 実務経験2年 or 登録実務講習
- 3 法定講習 交付申請前6か月以内
- 4 宅建士証交付 有効期間5年
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事務所の専任宅建士 | 業務従事者5人に1人以上(端数切上げ) |
| 案内所等 | 1人以上 |
| 基準を欠いたとき | 2週間以内に補充 |
| 独占業務① | 重要事項の説明(35条) |
| 独占業務② | 35条書面(重説)への記名 |
| 独占業務③ | 37条書面(契約書面)への記名 |
3. 営業保証金と弁済業務保証金分担金
もし不動産屋さんとの取引でお客さんが損をしたとき、ちゃんとお金を返してもらえるように、業者はあらかじめお金を預けておきます(供託・きょうたく)。やり方は2つ。1社で全額を預ける営業保証金と、みんなで助け合う団体(保証協会)に入って、少しのお金で済ませる弁済業務保証金分担金です。ここは金額の暗記がいちばん大事です。
万円
営業保証金(主たる事務所)
従たる事務所ごとに+500万円
| 項目 | 営業保証金 | 弁済業務保証金分担金 |
|---|---|---|
| 本店 | 1,000万円 | 60万円 |
| 支店ごと | 500万円 | 30万円 |
| 供託・納付物 | 金銭または有価証券 | 金銭のみ |
| 供託・納付先 | 最寄りの供託所へ自分で | 保証協会へ |
| 協会の供託 | — | 納付の日から1週間以内 |
| 事務所新設時の納付 | — | 2週間以内 |
4. 媒介契約の規制
家を売りたいとき、不動産会社に「買い手を探してください」とお願いする約束が媒介契約(ばいかいけいやく)です。何社にもお願いできるか・自分で買い手を見つけてもいいかで、3つのタイプに分かれます。きびしいタイプには、契約の期間や報告のルール、レインズ(業者の物件データベース)への登録義務がかかります。ここも日数の暗記がカギです。
| 項目 | 一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 |
|---|---|---|---|
| 他業者へ重ねて依頼 | ○ | × | × |
| 自己発見取引 | ○ | ○ | × |
| 有効期間 | 制限なし | 3か月以内 | 3か月以内 |
| 報告義務 | なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
| レインズ登録 | 義務なし | 契約日から7日以内 | 契約日から5日以内 |
5. 35条書面(重要事項説明)と37条書面(契約書面)
家を買う・借りる前には、たくさんの大事な情報を知っておかないと困りますよね。そこで契約する前に、物件や条件のだいじな点を説明する書面が35条書面(重要事項説明書・じゅうせつ)。そして契約が成立したあとに、契約の内容を書いて渡すのが37条書面(契約書面)です。この2つの「いつ・だれに・説明あり/なし」のちがいが、とてもよく出ます。
| 項目 | 35条書面(重説) | 37条書面(契約書面) |
|---|---|---|
| 交付時期 | 契約成立前 | 契約成立後 遅滞なく |
| 交付の相手 | 買主・借主(取得者側) | 両当事者 |
| 宅建士の説明 | ○ | × |
| 宅建士の記名 | ○ | ○ |
| 引渡し時期・移転登記時期 | × | ○ |
| 登記された権利の有無 | ○ | × |
6. 8種制限(自ら売主規制)
プロの不動産屋さん(宅建業者)が自分で売主になって、プロでない一般のお客さんに売るとき、お客さんを守るための特別な8つのルールがかかります。これが8種制限です。お客さんもプロ(業者)なら、このルールはかかりません。クーリングオフ・手付・保全措置の数字が最頻出です。
日間
クーリングオフ(書面告知から)
事務所等以外でした申込み・契約が対象
| 制限 | キーとなる数字・要点 |
|---|---|
| ① クーリングオフ | 書面告知から8日間 |
| ② 自己所有でない物件の売買制限 | 他人物・未完成の制限 |
| ③ 損害賠償額の予定等の制限 | 予定+違約金が代金の20%まで |
| ④ 手付額の制限 | 代金の20%まで・解約手付とみなす |
| ⑤ 手付金等の保全措置 | 未完成5%超or1000万超/完成10%超or1000万超 |
| ⑥ 契約不適合責任の特約制限 | 通知期間は引渡しから2年以上 |
| ⑦ 割賦販売契約の解除制限 | 30日以上の期間を定め書面催告 |
| ⑧ 所有権留保等の禁止 | 受領額が代金の10分の3以下なら留保可 |
手付金等の保全措置は、引渡し前に受領する手付金・中間金等が一定額を超えるとき、受領前に措置を講じないと受領できません。基準は未完成と完成で異なります。
7. 報酬額の制限
不動産屋さんがなかだち(仲介)でもらえる手数料(報酬)には上限があります。取りすぎないように国が決めているのです。売買は物件の値段に応じた速算式(さっさんしき)、賃貸は家賃1か月分が基本。計算問題がよく出るので、式と例をセットで覚えましょう。
| 物件価格(税抜) | 報酬上限 |
|---|---|
| 200万円以下 | 価格 × 5% |
| 200万円超〜400万円以下 | 価格 × 4% + 2万円 |
| 400万円超 | 価格 × 3% + 6万円 |
| 区分 | 報酬の上限 |
|---|---|
| 売買・交換の代理 | 媒介報酬の2倍まで(一方からは合計で2倍以内) |
| 賃貸借の媒介(合計) | 借賃1か月分+消費税 |
| 居住用建物の賃貸 | 承諾がなければ一方から0.5か月分まで |
| 低廉な空き家等の特例 | 税抜800万円以下→税込33万円まで(2024年7月改正) |
8. 監督処分・住宅瑕疵担保履行法
ルール違反をした業者や宅建士には、お役所からおしおき(行政処分)が下されます。軽いものから重いものまで、業者・宅建士とも3段階になっています。
| 段階 | 宅建業者 | 宅建士 |
|---|---|---|
| 軽 | 指示処分 | 指示処分 |
| 中 | 業務停止(1年以内) | 事務禁止(1年以内) |
| 重 | 免許取消(免許権者のみ) | 登録消除(登録知事のみ) |
住宅瑕疵担保履行法は、新築住宅に欠陥があったとき売主が倒産していても買主が救済されるよう、業者に供託か保険加入を義務づける法律です。
暗記の総まとめ(宅建業法の数字)
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 免許の有効期間/更新申請 | 5年/90日前〜30日前 |
| 専任宅建士の設置 | 業務従事者5人に1人以上 |
| 宅建士証の有効期間/法定講習 | 5年/交付申請前6か月以内 |
| 営業保証金(本店/支店) | 1,000万円/500万円 |
| 弁済業務保証金分担金(本店/支店) | 60万円/30万円 |
| 媒介契約の有効期間(専任・専属専任) | 3か月以内 |
| 報告義務(専任/専属専任) | 2週間に1回/1週間に1回 |
| レインズ登録(専任/専属専任) | 7日以内/5日以内(休業日除く) |
| クーリングオフ期間 | 書面告知から8日間 |
| 損害賠償額の予定・手付額の上限 | 代金の20% |
| 手付金等保全(未完成/完成) | 5%超or1000万超/10%超or1000万超 |
| 報酬速算式(400万円超) | 3%+6万円 |
| 低廉な空き家特例 | 税抜800万円以下→税込33万円 |
| 業務停止・事務禁止処分 | 1年以内 |
| 瑕疵担保保険(金額/期間) | 2,000万円以上/10年以上 |
宅建業法はこれで攻略完了です。次は法令上の制限(例年8問)へ。都市計画法・建築基準法の面積基準・建ぺい率/容積率の計算を、計算例とともに固めましょう。