不動産まるわかり大全

リスクと税金のしくみ

ここは、この投資カテゴリでいちばん大事なページです。不動産投資には、楽しいことだけでなく、気をつけないと大きく損をする「こわいこと(リスク)」がいくつもあります。「やめときなよ」と言われる理由の多くは、このこわいことを軽く見てしまった失敗なんですね。あわせて、もうけや税金にかかわる「むずかしそうなしくみ」も、表とうらの両方から、正直にお話しします。

こわいこと(リスク)— 正直に知っておこう

不動産投資には、すくなくとも8つの代表的なこわいことがあります。

  1. 空き部屋になる…住む人がいなければ家賃はゼロ。それでもローンの返済や税金は、どんどんかかり続けます。
  2. 家賃が下がる…建物が古くなったり、近くに新しいマンションができたりすると、もらえる家賃が下がっていきます。
  3. 金利が上がる…ローンの利息(りそく)が上がると、返すお金がふえて、お財布がくるしくなります。
  4. 修理代がかかる…エアコンがこわれたり、10〜15年に1度の大きな修理では何百万〜何千万円もかかったりします。
  5. 災害(さいがい)が起きる…地震・台風・水害など。いつ起きるか分からず、ぜんぶは防げません。
  6. すぐに売れない…不動産は、買ってくれる人を見つけて手続きが終わるまで、何か月もかかります。すぐにお金にできないのが弱点です。
  7. 家賃をはらってもらえない…住む人が家賃をはらってくれないこともあります。「はらってください」とお願いするのは、手間も時間もかかります。
  8. サブリースのトラブル…「家賃を保証しますよ」という約束が、とちゅうで一方的に減らされたり、やめられたりする問題です(あとでくわしくお話しします)。

この8つは、じつは2つのなかまに分けられます。住む場所のえらび方やお金の用意で「自分でけっこうふせげるもの」と、災害や急な金利のように「がんばってもぜんぶは防げないもの」です。下の図で見てみましょう。

空き部屋 家賃が下がる 家賃のはらいわすれ 修理代 金利が上がる 災害 すぐ売れない サブリース
図1 右にいくほどよく起きる、上にいくほど自分でふせぎやすい。空き部屋や家賃のはらいわすれは対策しやすいですが、災害や金利は防ぎきれませんね。

建物が古くなるしくみ(減価償却)と税金

家賃のもうけを計算するときは、もらったお金からかかったお金(経費=けいひ)を引けます。引けるのは、管理(かんり)のお金・修理代・税金の一部・保険料・ローンの利息(りそく)の部分など。気をつけたいのは、ローンの元金(がんきん)の返済は引けないことと、自分が払う所得税・住民税も引けないことです。

減価償却(げんかしょうきゃく)ってなに?

新しいおもちゃも、何年もつかうと古くなって、ねうちが下がりますよね。建物もおなじです。この「すこしずつ古くなって、ねうちが減っていく分」を、何年かに分けて、毎年すこしずつ「かかったお金」にできるしくみが減価償却です。ただし、土地は古くなりません(だから減価償却できません)。減るのは建物の部分だけ、とおぼえてください。

図2 建物の種類ごとに、なん年で古くなる計算にするかが決まっています。木造は22年と短く、コンクリートのRC・SRCは47年と長いですね。

たとえば建物の部分が5,000万円の木造の家なら、1年に230万円ずつを「かかったお金」にできます(5,000万円 × 0.046)。古い建物は、もう何年も使われていて残りの年数が短いので、短い年数でいっきにたくさん「かかったお金」にできます。だから、古い建物が「税金が安くなる」と言われるんですね。

こわい落とし穴:デッドクロス

減価償却は「お財布からお金は出ないのに、かかったお金にできる」ので、税金を安くして、手残りをたすけてくれます。ところが、この減価償却ができる年数が終わると、とつぜん税金がふえます。それなのに、ローンの元金の返済(お財布からは出るのに、かかったお金にできない)は、まだまだ続きます。この元金の返済が、減価償却より大きくなった点が「デッドクロス」です。「おこづかい帳の上ではプラスなのに、お財布の中身はマイナス」という、こわい交差点(こうさてん)ですね。

たった年数 お金(万円)
  • 減価償却(古くなる分)
  • ローンの元金返済
図3 減価償却(青)はとちゅうでガクッとゼロに近づき、ローンの元金返済(赤)は年々ふえていきます。2本がぶつかる点が「デッドクロス」。そこから先は、税金が重くなって手残りがへります。

税金のしくみ — 損益通算(そんえきつうさん)

家賃のもうけから、かかったお金を引いた残りが「不動産のもうけ」になって、お給料(きゅうりょう)などといっしょに税金がかかります。1年に1回、自分で計算して国に知らせる「確定申告(かくていしんこく)」がひつようです。

損益通算=赤字を、お給料とぶつける

もし不動産のもうけが赤字(マイナス)になったら、その赤字をお給料などのもうけとぶつけて、へらせます。これを損益通算と言います。テストの点でたとえると、「不動産の点が −20点でも、お給料の +100点とたすと80点になる」イメージ。これで、はらいすぎた税金がもどってくることがあります。

お給料(黒字) 不動産(赤字) 土地分の利息 損益通算
図4 不動産の赤字を、お給料の黒字とぶつけて、税金のかかる分をへらすのが損益通算。ただし「土地を買うために借りたお金の利息」の分は、ぶつけられません。

売るときの税金 — 5年で大きく変わります

物件を売ってもうけが出ると、税金がかかります。この税金の率は、何年もっていたかで、大きく変わります。5年をさかいに、なんとほぼ半分に下がるのです。

39.6 % 5年いかでうる(短期) やく40% 20.3 % 5年こえてうる(長期) やく20%
図5 5年いか(短期)でうると39.63%、5年をこえて(長期)からうると20.315%。5年をさかいに、税金の率が階段(かいだん)のようにストンと下がります。