不動産まるわかり大全

キャッシュフローとレバレッジ

前のページで「利回り(りまわり)」を学びましたね。でも、ここで大事なおはなしがあります。もうけが大きく見えても、手元(てもと)にお金が残るとはかぎらないのです。

たとえば、おこづかいを1,000円もらっても、おやつ代やマンガ代でほとんど使ってしまったら、お財布(さいふ)にはほとんど残りませんよね。お部屋を貸して家賃をもらっても、それとおなじことが起こります。さいごにお財布に残るお金のことをキャッシュフロー(手残り=てのこり)と言います。不動産投資がうまくいくかどうかは、ここで決まります。

手残り(てのこり)のしくみ — さいごに残るお金がすべて

手残りは、つぎのように計算します。

手残り = 家賃 − ローンの返済 − かかるお金 − ぜいきん

家賃という大きなお水を、上から流すと思ってください。すべり台をすべるように、ローンの返済・かかるお金・ぜいきんと、すこしずつ引かれていって、いちばん下に残ったちょっぴりのお水が「手残り」です。下の図で、その流れを見てみましょう。

120 万円 家賃 − 60 万円 ローン返済 − 30 万円 かかるお金 − 15 万円 ぜいきん 15 万円 手残り
図1 家賃120万円から、ローン返済60万円・かかるお金30万円・ぜいきん15万円を引いていくと、さいごに残るのは15万円だけ。大きな家賃も、引かれていくとこんなに少なくなりますね。

この例では、1年の家賃120万円から、返済60万円・かかるお金30万円・ぜいきん15万円を引いて、手元に残るのは1年で15万円。月になおすと、家賃9万円のうち8万円が出ていって、残るのは月に1万円くらい、というイメージです。家賃の見た目の大きさと、ほんとうに残るお金のちがいに、おどろきますね。

図2 同じ「家賃120万円」でも、お財布に残るのはほんの一部だけ。

レバレッジ — 銀行のお金を借りて、大きく買う「てこ」

レバレッジとは、むずかしい言葉ですが、いみは「てこの原理」です。理科でならう「てこ」を思い出してください。小さな力でも、長いぼうを使えば、大きな石を持ち上げられますよね。それとおなじで、自分のお金が少なくても、銀行からお金を借りれば、大きな物件を買えるのです。

銀行から借りたお金を上手に使うと、自分が出したお金に対するもうけを大きくできます。これは、不動産投資の大きなみりょくの1つですね。

イールドギャップ=もうけの率 − 借りる金利

この「てこ」がうまく効くかどうかは、イールドギャップ=(物件のもうけの率 − 借りるときの金利(きんり))で決まります。むずかしそうですが、いみはかんたん。「もうけの率」が「借りるときに払う利息(りそく)の率」より、しっかり大きければOKということです。

8 % もうけの率 家賃ベース 2 % 借りる金利 ローンの利息 6 % 差(ギャップ) この差がもうけのもと
図3 もうけの率が8%、借りる金利が2%なら、その差(イールドギャップ)は6%。この差が大きいほど、てこがうまく効きます。目安は「差が2%以上」です。

レバレッジのこわいところ — 逆(ぎゃく)レバレッジ

べんりな「てこ」ですが、じつはもろ刃(ば)の剣(つるぎ)です。これは「いいことも、わるいことも、両方とも大きくしてしまう」といういみ。シーソーを思い出してください。うまくいっているときは大きくもうかりますが、つぎのようなことが起こると、シーソーがぎゅるんとひっくり返って、逆レバレッジ(大きな赤字)になります。

  • 金利が上がる… 変動金利(へんどうきんり=あとから金利が変わるタイプ)で借りていると、金利が上がって借りる金利がもうけの率をこえてしまうことがあります。そうなると、家賃だけでは返済が足りず、毎月赤字になります。
  • 空き部屋ができる… 住む人がいなくて家賃がゼロになっても、ローンの返済はとまりません。自分のお金をほとんど入れずに借りているほど、空き部屋のダメージは大きくなります。
  • 借りすぎる… 返済が重いと、金利・家賃・空き部屋のちょっとした変化ですぐ赤字になってしまいます。

下の表は、おなじ物件でも「金利がもうけの率より低いとき(よいシーソー)」と「金利が上がってもうけの率をこえたとき(ひっくり返ったシーソー)」で、どう変わるかをくらべたものです。

図4 もうけの率>金利のときは差がプラスのもうけになりますが、金利が上がって もうけの率<金利 になると、差が赤字にひっくり返ります(逆レバレッジ)。