REITとは何か
REIT(リート)という言葉を、聞いたことはありますか。なんだか難しそうな響きですよね。でも、中身はとってもかんたんです。
たとえば、大きなピザを思いうかべてください。1枚まるごとは高くて、ひとりでは買えません。でも、みんなで少しずつお金を出し合えば、1切れずつ分けて食べられますよね。REITは、これとそっくり。「みんなで少しずつお金を出し合って、大きなビルを買い、その家賃をみんなで分け合うしくみ」なのです。
このページでは、REITって何なのかを、ふつうの不動産投資とくらべながら、ゆっくり見ていきましょう。
REITって、結局なに?
REITは英語の Real Estate Investment Trust の頭文字をとった言葉で、日本語では「不動産投資信託(ふどうさんとうししんたく)」と呼びます。投資信託(とうししんたく)とは、たくさんの人からお金を集めて、プロがまとめて運用してくれる商品のこと。その投資信託の中でも、集めたお金で不動産(ビルやマンションなど)を買うタイプが、REITです。
日本でつくられたREITのことは、J-REIT(ジェイ・リート)と呼びます。J は Japan(日本)の頭文字です。これから出てくる「REIT」は、基本的にこの日本版のJ-REITを指しています。
もう少しくわしく言うと、J-REITは「多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンション、物流施設など複数の不動産を購入し、その賃貸収入(家賃)や売買益(売却益)を投資家に分配する金融商品」です。投資家であるあなたは、不動産を自分の名義で直接持たなくても、間接的に不動産のオーナーになれるのがポイントです。
現物(げんぶつ)の不動産投資と、何がちがう?
ふつう「不動産投資」というと、マンションの1室を買って、人に貸して家賃をもらうといったイメージですよね。これを現物(げんぶつ)不動産投資と呼びます。物件そのものを自分の持ち物にする方法です。
現物の不動産投資には、ふつう数千万円〜数億円という大きなお金が必要です。とても個人が気軽に始められる金額ではありません。一方でJ-REITは、保有する不動産の価値を「投資口(とうしぐち)」という小さな単位に分けて売り出します。だから1口あたり数万円〜数十万円から、大きな不動産のオーナーの一員になれるのです。
さっきのピザの話を思い出してください。現物の不動産投資は「大きなピザを丸ごと1枚、自分ひとりで買う」ようなもの。とても高いですよね。いっぽうREITは「大きなピザを大勢で1切れずつ分け合って買う」ようなものです。1切れなら、おこづかいでも手が届きそうです。
上の図のように、現物だと5,000万円を自分ひとりで用意しなければなりません。でもREITなら、あなたは数万円ぶんの投資口を持つだけで、残りはほかの大勢の投資家が出し合ってくれます。それでいて、その大きな不動産から生まれる家賃を、持ち分に応じて受け取れるのです。
現物とREIT、3つの根本的なちがい
持ち方のちがいを、もう少し整理してみましょう。現物とREITでは、「持ち物」「規模」「運用する人」の3つが根本的に違います。
| 観点 | 現物不動産投資 | REIT(J-REIT) |
|---|---|---|
| 持ち物 | 物件そのものを所有 | 「投資口」という証券を所有(間接的に多数の物件のオーナー) |
| 規模 | 1人で1〜数物件 | 1銘柄で数十〜数百物件に分散 |
| 運用する人 | 自分(または委託した管理会社) | 不動産のプロ(資産運用会社) |
とくに大事なのが「規模」です。現物だと、買えるのはせいぜい1物件か数物件。もしその1室が空室になったら、家賃収入はいきなりゼロになってしまいます。でもJ-REITは、1つの銘柄(めいがら)で数十〜数百もの物件を持っています。1つの建物が少し空いても、ほかの物件がしっかり稼いでくれるので、収入が安定しやすいのです。これを分散(ぶんさん)と言います。
そして、その大量の物件を運用するのは、あなたではなく不動産のプロ(資産運用会社)です。「どの物件を買うか」「いくらで貸すか」をプロが考えてくれるので、あなたは投資口を持っているだけ。手間はほとんどかかりません。
少額から、こんなに気軽に
「不動産投資は、お金持ちのもの」というイメージは、REITの登場でずいぶん変わりました。実際にどのくらいの金額から始められるのか、数字で見てみましょう。
J-REITを始められる金額の目安
1口あたり。数万円から買える銘柄もある
万円未満
足元の全銘柄の1口価格
すべての銘柄が1口40万円を下回る水準
数億円
現物だと必要な金額
マンション1室〜1棟を買う場合
このように、足元ではすべての銘柄が1口40万円を下回り、数万円から買える銘柄もあります。数千万円〜数億円が必要な現物とくらべると、ハードルの低さは一目瞭然ですね。
REITは、どうやって生まれたの?(歴史)
REITは、1960年にアメリカで生まれました。「お金持ちだけでなく、個人投資家も大型不動産投資の恩恵を受けられるように」という願いから始まった、いわば『みんなのための不動産投資』のしくみです。
日本にやってきたのはもっとあと。2000年11月に「投資信託及び投資法人に関する法律(投信法)」が改正され、投資信託の運用対象に不動産が新しく加わったことで解禁されました。そして2001年9月、最初の2銘柄が東証(とうしょう=東京証券取引所)に上場し、日本のJ-REITの歴史が始まったのです。
- 1 1960年 REIT誕生 アメリカ
- 2 2000年11月 投信法 改正 不動産が運用対象に
- 3 2001年9月 J-REIT 上場 最初の2銘柄
REITの正体がつかめてきましたか。次のページでは、「J-REITはどんなしくみで動いているのか」「なぜ分配金(利回り)が高いのか」を、登場人物の関係図を使ってくわしく見ていきます。